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基幹システムからインダストリー4.0、そしてその先へ

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新しいイノベーションに焦点をあてるアプローチ

安全なことから始めることは、多くの製造業がインダストリー4.0の目標に到達するための総合戦略の一環として採用してきたアプローチです。MES(生産情報制御システム)は、製造業のオペレーションを効率化し、生産現場の可視性を向上させる、製造業共通の管理システムとして30年以上使われている信頼されたシステムです。したがって、MESのような既知かつ信頼されたシステムとの差分をなくなるまで埋めていくことは論理的なアプローチではあります。

インダストリー4.0の真髄は、効率を向上させるために推進された自動化から得たデータの力をフルにエンタープライズスケールで引き出すことにあります。製造業において、ますます各システムがつながるにつれ、製造DXやインダストリーIoT(IIoT)というコンセプトがより説得力や妥当性を持つようになりました。IIoTは、製造や工場に当てはめられたIoTを意味します。そこから、IIoTのユースケースをすべてMESが満たすことができるのか?という疑問が生じます。MESは、ミッションクリティカルなアプリケーションを満たすための特定要件で設計、構築されています。

MESは、堅牢で集約化された製造オペレーション管理特化ソリューションとして設計されているのです。効率、コスト最適化、作業者の安全性向上など、より大きなイニシアチブを実現するためにデータを利用するという点で話を進めると、すべての基礎となる工場側のシステムとエンタープライズシステムやテクノロジーを統合するため、より包括的でプラットフォームとなるアプローチが必要となります。

IIoTのユースケースを解決するためにMESに追加のソフトウェアやツールを統合する方法がありますが、このアプローチは潜在的なセキュリティの脆弱性、データの冗長性や一貫性の課題、ツールやデータの負荷、ベンダーロックイン、さらには複数の現場でのスケーラビリティなどの問題を引き起こす可能性があります。しかし、ポジティブな点としては、既知のシステムの利便性はそのままで、前述した内部の組織の慣性を最小限に抑え、既存の関係者の学習曲線を短縮することができます。

より革新的なアプローチ

クラウドの広まりと前例のない接続性の高まりに伴い、DXはエグゼクティブやビジネスリーダーにとって重要な課題となりました。製造業はこの点でやや特異な存在でしたが、パンデミックが製造業や工場におけるDXの必要性を加速させました。業界のリーダーたちは、リアルタイムに意思決定するための巨大な潜在能力を持つデータの宝庫にいることを認識しました。いつの間にか製造業は、インダストリーIoTに関してかつてないほど準備が整っていたのです。

特定のIIoTユースケースを解決するためのポイントソリューションやある特定の課題の解決策を提供する非常に多くのベンダーが市場に登場しました。機械間の接続、データ収集、集約、モデリング、可視化、分析など、これらのIIoTソリューションは、工場の自動化、運用効率の向上、可視性の向上、プロセス制御、品質管理、予防保全など、1つ以上の問題に対処しています。しかし、これらのソリューションの多くは、以下のどれかを受け入れる必要があるという問題があります。

  • 製造業がクラウドファーストとならざるを得ない
  • 新しいデータインフラが複雑化する
  • セキュリティの脅威が拡大する

市場シェアを獲得するために、いくつものミッションクリティカルなシステムプロバイダーがこの領域に参入し、自社のソリューションをIIoTプラットフォームとして立ち上げようとしています。その結果、多くの製造業がインダストリーIoTは大きな資本を必要とし、また多くの作業を要すると感じるメッセージを伝える結果となってしまいました。

両方の世界のベスト

基本に戻ると、ISA-95モデルは、IIoTがモデルの各層でデータを最大限に活用しようとする場合でも、依然として非常に関連性があります。つまり、理想的なIIoTプラットフォームは、ISA-95データモデルの「エッジ」に位置するべきなのです。IIoTプラットフォームは、PLC、SCADA、ヒストリアン、MES、ERPなどを補完することができます。理想的には、リアルタイムで実行可能な洞察を得るための双方向のデータフローをサポートするデータパイプラインまたはメッセージブローカーが、その中核に存在すべきです。MQTT、NATS、Kafkaなどのいくつかの技術は、データのやり取りにおいてこのようなパブリッシュ/サブスクライブの方法を追求しており、プラットフォームはこれらのいずれかをその中核のメッセージブローカーとして使用できます。それぞれに得意、不得意があり、個別の議論を必要とします。

しかし、より重要なことは、データパイプラインがすべてのミッションクリティカルなシステムと一般的なエンタープライズアプリケーションにネイティブな接続ができることです。これは、製造業がデータパイプラインに対してパブリッシュまたはサブスクライブするための仲介アプリケーションを開発、ホスト、保守するために時間と労力を費やす必要をなくすために重要なのです。

適切にデザインされたIIoTプラットフォームは、ISA-95モデルのさまざまな層にブリッジをかけ、各システムからのデータを調和させ、価値あるコンテキストを付加できます。工場のすべてのデータソースと組み合わされたIIoTプラットフォームは、データの潜在能力を引き出すことができます。これは、以前では不可能だったことなのです。

製造業は現在、転換点に立っています。行うべきことはまだまだたくさんあり、エコシステムの各プレーヤーには各々の役割があります。そして、その役割はパートナーシップと技術的な協力ができなければなりません。なぜなら、今でなければ、真の意味でのインダストリー4.0時代には決してならないからです。

※本ブログは2023年5月18日にEngineers Outlookに掲載されたブログの翻訳です。

著者:Suranjeeta Choudhury, Director of Product Marketing and Industry Relations, Litmus

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